ジャズギターを習得するために
必要な科目
前回のジャズギター習得へのロードマップ①で「ジャズギターを学問として、論理的、戦略的に身につけていく」考え方を提示しました。
ここでは、ジャズギターを習得するために必要だと思われる事柄を科目として整理していきます。もちろんこれが正解ということではなく、あくまで一つの考え方の例として捉えてください。
ざっくりと3つの大枠を作ります。
それは能力系、テクニック系、知識系の3つです。以下細かく見ていきましょう。
1、知識系
・ジャズの名盤をきく
・ジャズの偉人を知る
・ジャズの歴史を知る
3つの大枠のうち、最も取り掛かりやすいのが「知識のinput」だと思います。
これからジャズをやる上で「ジャズとはなんなのか?」を学んでいく。
音楽を勉強していく上で「音楽とはなんなのか?」を勉強していくということです。
これらの命題は決して一言では答えられるものではありませんが、例えばチャーハンを作りたい人が、一度もチャーハンを食べたこともなく、また見たこともなければ当然チャーハンは作れないのはわかると思います。
これからジャズという芸術に触れていく中で、重要かつ手軽(いまでは)に行えるのが、「過去の名盤を聴く」ということです。いいスピーカーで良い重低音でじゃないとダメだ…。みたいに怒る方もいるかもしれませんが、とにかく戦略的にジャズを攻略するのであれば、手っ取り早くスマホのサブスクリプションのアプリなどを利用して時間のある時、移動時、お風呂、寝室…などでジャズを聴きまくりましょう。(できればベースがしっかり聴こえるイヤホン、スピーカーを推奨します)
またそれと同時に「過去、現在とらわれず名プレイヤー」の名前、演奏を抑えていきましょう。ジャズでは知っていなければいけない名盤、名演が数多くあります。
それらが誰の、どの作品なのか、しっているのはとても大切なことです。
また、何かの芸術活動は「新しい」といわれるものでも「歴史的な流れを全く無視したものは出てきません。」少なくともジャズと認識されません。実際にオーネット・コールマンの「The Shape of Jazz to Come」を聴いてみてください。このアルバムはフリージャズの先駆けとして、新しいジャズの革新としてジャズの歴史の中でも重要な名盤です。
今聴いてもスピーカー越しから伝わってくるその緊張感とうねりは素晴らしくかっこいいものですが、今からジャズを勉強しようと思っている人にとって、他のこの年代(1959)に作られた作品と比べて、何がそこまで新しいのか?理解しにくいと思います。
つまり、そのジャンルでまったく新しいと言われるものでも、それまでのフォーマットや楽器の編成やアドリブや、その他ジャズをジャズたらしめんとしている多くの部分は歴史やそれまでの流れからの踏襲ということです。
もしあなたがジャズをやっているとしっかり認識して欲しいのであれば(というよりジャズをやりたいのであれば)歴史を勉強していくべきです。
もちろん博士のようになる必要はありませんが、ジャズ好きのおっさんに上から目線で語られないくらいの名盤と名プレイヤーと歴史の知識は持ってた方が良いでしょう。
これらは、よくまとまった書籍など数多く出ているので、それらを一読するのも良いと思います。僕も名プレイヤーの自伝や名盤紹介、インタビューなど数多く読みました。
ただ、忘れてはいけないのが「ジャズは本棚にはあらず」です。少なくともジャズをプレイしたいのであれば、知識はプレイする前の前提条件みたいなものです。
・音楽理論の理解
・楽器の理解
音楽理論はテクニックや能力とも結びつくのでカテゴライズが難しいですが、inputとして知識系にしておきます。
ジャズのアドリブや作曲の理論は、ジャズ特有のものではなく他のジャンルでも多々出てきます。調性やハーモニー、和声進行や音階の理論を勉強することによって楽曲のアプローチ方法がわかってきます。例えばジャズでは「 C 」しか書いていないコード表記にラの音やレの音を暗黙で足したりします。何故そうして良いのか?のような事を勉強して行きます。
ただこれらは後述の音感などとも密接に関わってくるので知識のみでは全く不十分であることを付け加えておきます。というか頭で理解しても音感が伴わないと実際には体感として理解できないでしょう。英作文や英文読解はできても実際の英会話では話せないように、ジャズが行われている現場では使えないでしょう。
楽器の理解も同様にテクニックにも依存しますが、ギターという楽器は構造上「音名」が見えにくい楽器です。まず何弦の何フレットが何の音か?これを覚える必要があります。
またそれと同様にトライアドやコードの転回形、Drop Voicing、アルペジオ等はテクニックとともに知識として理解していく必要があります。
2、テクニック系
・左手の運指はロックグリップなのかクラシックスタイルなのか?
・左手指の独立はできているか?
・右手のピッキング、指弾きについて(正しい弦振動を実践できるか?)
・ダイナミクスをつけられるか?
・右手指弾きの独立はできるか?
・自分が思うタイミングでピッキングやミュートができるか
・カッティングやミュートの技術など
・正しく脱力ができているか?...etc
「ギターを弾く」という実際の運動に対して、自身のテクニックがどれくらいのレベルなのか?
知識や能力を高めて、さぁ実際に弾くぞ!となっても実際にうまく弾けないのであれば宝の持ち腐れになってしまいます。それこそ単語や熟語はたくさん知ってるけど実際には話せません。という英語のジレンマのような状態になってしまうので、ここは時間をかけて掘り下げる必要があります。上記のテクニック以外にももっと無数にあると思われます。これらのテクニックはジャズのみならずギターを弾くという運動の上で大切なもので、ジャンルを限定しません。
これらの練習をする上でも、「自分が今何をトレーニングしているのか?」を明確に意識しながら行うことが大切です。
ジャズに直結するテクニックとして、既存の名プレイヤーのソロやフレーズをコピーするというものがあります。これらもジャズ言語を学ぶ上では大変重要なトレーニングです。
というかジャズギター習得の場合、ここからスタートをする方が多いと思いますが、僕のところに習いにくる生徒の多くは上記の基礎的なテクニックがしっかりできていません。
ジャズ言語を習得することももちろん大切ですが、まずは自分の楽器をしっかり演奏できる、というテクニックをもっと掘り下げることが大切です。
当たり前ですが、名人たちは基本的に楽器を弾くのが上手いです。ジャズ言語はその上で構築された偉人たちの言葉です。言い換えると、自分のテクニックを掘り下げて追求していった人は、自分自身の言葉で強固に話せるようにようになります。その上でジャズの歴史や語法を学べば、自身の魅力が音楽で表現できると考えています。
3、能力系
・リズム感
・音感
リンクをクリックすると筆者Takohのリズム感、音感向上の体験記事に移ります
能力系とカテゴライズしたのは、テクニックでも知識でもない「感覚」の部分です。
リズム感と音感、あとは他の人と音楽を共有して作っていく人間性とかそういうものでしょうか。または読譜力や楽曲理解力などの音楽力もこの様な能力系になってくるかと思います。
おそらくこれが最もとっつきにくく、時間もかかる科目かと思います。
が、おそらく一番大切になってくる部分です。
ずばり言い切ってしまうと、多くのジャズではリズムが最も大切で、ジャズミュージシャンの大多数も上記の科目で「最も大切なのはリズム」だと言い切るでしょう。
リズムが超絶良ければ、上記のもの全てがアマチュアレベルでもひょっとすると仕事になるかもしれません(そんなに甘くないか)。しかし逆にリズム以外の科目がプロレベルでも、リズムが良くなければジャズでの仕事は難しいでしょう。
ジャズはまず共演者とリズムを共有できることがなによりも優先されると思います。
また、その場での即興的要素が高いジャズという音楽にとって、共演者が何の音を弾いているか即座に認識できる能力、音感は必要になってきます。というか音楽をやる人間が音感がない方がおかしいと思うべきです。料理人が味覚音痴くらいおかしいことです。
趣味の範囲内で「弾き語り」をする。または「決まった音符を弾いていく」クラシックギターなどのジャンルにおいてはそこまで重要視する必要もないかもしれませんが、会話を行うような形で進んでいくジャズというジャンルではある程度の音感は必須になるでしょう。
しかし、この感覚として捉えられている能力的な部分の向上には根気と継続が必要です。今日覚えたら明日からできるみたいなものでもないのです。
気が遠くなるかもしれませんが、毎日トレーニングをするのです。もしジャズギターを習得したいと考えているのであれば、毎日やらなければいけません。
またこの二つは楽器を持たずにトレーニングが可能な科目です。是非移動中や楽器がない時も能力を向上させるべくトレーニングをすることをお勧めします。僕も学生時代のアルバイト中ずっと耳コピしたり音感を鍛えていました。
以上、ざっとですがジャスギターを習得する上で必要とおもわれることを科目的に書き出してみました。
これから具体的に上記の内容の向上方法を動画などを交えて提示していきます。
ご自身の練習時間、ジャズ習得にさける1日の時間から、自分が今何をやっていけば良いのか?1時間なら30分リズム練習、10分指板の理解、10分は音感トレーニング
など科目別に必要なことを勉強していくことをお勧めします。また上記以外でもご自身が必要と思う科目があればそれらに取り組むことも大切かと思います。
適当にギターをアンプに繋いでギュイーンと弾いていたら、その瞬間は楽しいかもしれませんがその1時間はあっという間に過ぎます。そして、それを600時間やっても上達という観点からは目的意識を持ったトレーニングの5分の1ほどの成果しか見込めないでしょう。
また、ジャズギターの習得は外国語習得に似ているというのを忘れない様にしましょう。
半年や1年ほどでペラペラに話せる様になるものではありません。
戦略的に、段階的に焦らず攻略していきましょう。
このブログではこれからこれら一つ一つに対して大まかなHOW TOを提示していきたいと思ってます。また、初歩段階を抜け出した中級者レベルの方もさらなる向上ができる様な内容なども、動画などを交えながらお伝えしていきます。
本気のジャズギターを段階的に習得。
教室内ジャムセッションやフェスの出演などで実践経験もつんでいけます。
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