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執筆者の写真Takoh

ジャズギタリストがクラシックの国際コンクールに入賞するまでにやった7つの大切なこと

ピアニストはともかく、ギターを幼少期にクラシックからしっかり「学んだ」という人はそう多くはないのでは、と思う。


ギターは、ジャンルや音楽的な用途に合わせて、その形状や弦の種類など枝分かれし、かつどの種類も同様に市民権を得ている特異な楽器と言っていい。


つまり、エレキ、アコギ、ガット(クラシック)、どの楽器も等分に人気があるといえるし、その分門戸が広い。


エレキギターから始める人もいれば、アコギで弾き語りから始める人もいる。

僕は、一応幼少期から家に上記3種類のギターがあった。


最初に好きになったのはアコースティックギター、指で弾くアコギの音が好きで、アルペジオの弾き語り、ビートルズやサイモン&ガーファンクルを好んでいた。

高校の頃、シモン&ガルフンケルというふざけた名前で一緒に演奏していたその友人がクラシックを習っていて、彼から色々と教わったりもした。


その後、クラプトンやブルースを経てジャズに興味を持ったのは10代の終わり。音楽専門学校に入校しジャズギター科で様々な学んだ。


しっかりクラシックギターを学ぼうと決心したのは30代のはじめ、もうジャズギタリストとしてキャリアをスタートしていた頃だ。


クラシックを通ってないギタリストにとって、クラシックギターの完成された演奏を聴くと慄いてしまう。僕自身もクラシックギターは尊敬と畏怖と憧れなどが混在した複雑な感情を抱いていた。一言で言えば「コンプレックス」だろう。


ジャズギターのボスことウエス・モンゴメリーも、「クラシックギターは恐怖」と語っているインタビュー記事があった。「ギターはこういう風に弾くんだぞ」って言われている様な気になってしまう…と。


だが、その後お世話になるクラシックギターの師、富川勝智氏に出会い、たまたま僕のもっていたガットギターを富川先生が弾いたことがその後の人生を大きく変えてくれた。


自分の持っている楽器から信じられないくらいの「良い音」が出たのだ。


それはまさしく「感動」だった。


人間を突き動かすエネルギーは「感動」が大きいのではないか?

このサウンドの秘密を知らずにギター人生を終わる事はできない。と感じた。


ジャズギタリストとしてもまだうだつの上がってない僕にとって、その音色との出会いから1年ほど悩んだが、やはりその音色の秘密、奥深きクラシックギターのヴェールの内側に飛び込もうと考え富川教室の門をたたいた。



その後、スペイン音楽国際コンクールで賞をいただくまでにやってきたことの中で大切だったと思えることをお伝えしたい。

これから、または現在クラシックギターを習得している人は参考にしてくれれば幸いだ。



1、良い師につく。

これがほぼ全てと言って良い。「三年練習するよりも三年師を探せ。」という諺のとおり。もしあなたが「コンクールで賞をとる」ということを目的とするならば、これが最も大切だと思う。趣味で楽しく、なら家の近くの教室でも良いかもしれないが…。まずこれが前提として何より大切。



2、師の元で愚直に練習する。

私の生徒でもいるが、とかく大人の生徒は、この練習をやったらどうなるのか?この練習よりこっちはどうか?と結論を急いだり結果を早く求めたり、目の前の課題に取り組まずにあっちこっちに目移りする人が多い。

その結果、家にはやってない教本の山ができ、弾いていない楽譜が積み上がっていく。「これに励みなさい。」と言われたものをゆっくり根気よく取り組む。

これが1番の近道。僕は最初に全音のエチュード、カルリ45のエチュードから、カルカッシ25、その後セゴビア選ソル25などをやっていった。




3、教室のイベントは極力全て参加する。

音楽的なイベントに関しては全部参加する気持ちで取り組む。発表会、合宿など。



4、ジャンルを絞る。

クラシックギターと言っても、ルネッサンス、バロック、古典、ロマン派、近現代などの時代の違いから、スペイン、フランス、イタリア、南米などの国の違いなど多岐に渡っている。

最初はある程度的を絞った方が学びやすいと僕は考えている。

僕に関してはスペインを中心に勉強していった(演奏していった)。スペイン人の楽曲は何故あんなにかっこいいのかいまだによくわからないが…苦笑。

ジャンルは師の方向性と深く結びついているともいえる。



5、腐らず練習する(笑)

毎日真面目に取り組んでも、もともと生まれつき足が早い人がいる様に、生まれつき早く弾ける人、指が動く人がいる。

もし自分がそうでなくても、自分が感動する部分、音色だったり歌い回しだったり、そういうところを伸ばそう。セゴビアだってリョベートにくらべたら決してすごく器用ではなかったんではなかろうか?

すごい人はどんどん出てくる。あまり卑屈になると病気になるので、ある種の諦観を持ちつつ腐らず練習する。



6、演奏のイメージを持つ。

クラシックギターに取り組むまで、「弾く音が決まっていたら誰の演奏も同じになるのではないか?」などと馬鹿なことを思っていた。

取り組んでみてわかったが、音符が決まっていても余白はとても多いのだ。

一人一人の解釈が違う部分があり、演奏も個々によって様々違う。

どの様なフレージングで歌うかのイメージを持って弾く。

これも最初は難しいが、良い師につけばレッスンで導いてくれる。



7、日々の練習、演奏に感動する。

自分の演奏に感動できる様に、作曲者の楽曲に…感動しよう。



こんなところだろうか。

上記の様なことを続けた結果、僕はクラシックギターを初めて3年でスペイン音楽国際コンクールに挑むことになった。

結果は3位。上々かと思ったがその時は3位は賞は無く、選外だったのだ。この時3位で入賞だったらもうやめていたかもしれない。

4年目は5位で選外

これは結構悔しかった。その後、スペインでの単独コンサートやアンサンブル演奏なども経験し、スペインの生の空気感を体験し研鑽を積んでいった。

5年目、数字の結果は3位だったが、ここでやっと国際文化教育協会賞をいただき、賞金もゲット。入賞を果たした。

なにより、スペイン音楽の第一人者、濱田慈郎氏より「最もスペインらしい粋な演奏だった」と高く評価していただいたことが嬉しかった。


5年目のコンクールが最後となった。

そこから僕自身もクラシックでの活動をはじめて行こうかと考えていたその1ヶ月後、まさかの大事件が起こるのだがそれはまた別のブログで…




今は元の鞘に戻り、ジャズギタリストとして活動しているが、クラシックギターの世界に身を置いた30代の決断(結果的には8年学んだ)は自分の人生にとって最高の決断だったと思う。大きな自信にもなったし、音楽的な成長はジャズだけをやっていたのでは絶対に得られないモノとなった。

いまだにクラシックは大好きで挑戦したいとも思うが、僕は大谷翔平選手の様な二足の草鞋は履けそうにない。



今、ジャズギターの習得に励んでいる人がもしこれを読んでくれていたら、全てのジャズギタリストにカルカッシ25のエチュードだけでも師について学んだ方がいい、と伝えたい。その後深掘りするかはお任せするが、まったくクラシックを通らないより遥かにテクニックが向上し、ジャズギターの音色が豊かになるだろう。



ジャズギタリスト目線で学びたいなら、僕はうってつけ(手前味噌だが)といえるし、しっかりクラシックを学びたいなら当然、僕が学んだ師をお勧めする。



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