top of page
  • 執筆者の写真Takoh

ジャズギター習得へのロードマップ⑦〜基礎テクニックの向上①〜

更新日:2023年3月2日

このジャズギター習得へのロードマップでは「ジャズギターを学問として、論理的、戦略的に身につけていく」考え方を提示しております。


詳しくは過去の記事をご参照ください。


前回までは指板の理解を進めるという観点で個人的な方法論を提示していきました。今回は「ギターを弾く」という基礎的なテクニックについて書いていきます。




左手のフォーム



 アマチュアで独学でギターを練習している人のほとんど(僕のところに習いに来る生徒)が「左手のフォームがきたない」「指の独立ができていない」です。

そしてそれらの事に対して深く問題意識を持っていない人が大半です。


 動画サイトで「弾いてみた」をやってる人や、レッスン系の動画をやっている人の中にさえ、ある程度ではありますが左手のフォームが曖昧な人がいます。



 ギターを弾くという行為をしっかりと「運動」として認識した場合、ギタリストの両手指はオリンピック選手と比べても遜色ないほど繊細かつ激しく、素早く正確に動いています。


 にも関わらず、教則本やスクールなど、レッスンで左手のフォームを細かく教授しているものはクラシック系のもの以外ほとんど見かけません。(僕が知らないだけかもしれませんが、クラシックギターはその点、他ジャンルよりも進んでいると思います)



 今回は、まず左手指の動きについて考えていきます。


左手のフォームには、大きく分けてロックグリップ(ロックフォーム)とクラシックフォームがあります。


まずはロックグリップ。こちらの動画をご覧ください。





ロックグリップは文字通りロックギタリストに多い左手のフォームで、古くはカントリーやブルーグラスのフラットピッカー達もこのフォームで演奏していたことからカントリースタイルと呼ばれることもあります。


このフォームの代表的プレイヤー

ロック系

エリック・クラプトン

ジミー・ペイジ

ジェフ・ベック

ジョン・メイヤー

他超多数…というより、腰くらいの低い位置でギターを構える奏者はこのフォームにならざるを得ないと思うので、必然的にロックギタリストの多くがこのフォームになります。


カントリー、ブルーグラス系

トニー・ライス

ほか


ジャズ系

ニア・フェルダー

マイク・スターン

ラリー・カールトン

ジョン・スコフィールド

ウエス・モンゴメリー(以外ですが単音弾きの時はかなり綺麗なロックグリップです)

ジャズギタリストは、上記のロックギタリストほど極端なロックフォームではなく、小指も使いながらバランスを取っている人が多い印象です。中手骨を軸にしている人をあげてみました。



つぎはクラシックフォームの紹介です。


クラシックフォームはその名の通りクラシックギタリストが基本とするフォームです。

クラシックは音符が決まっており運指もある程度決まってくるので、その中でいかに効率よくミスしにくく、かつ体に負担なく弾けるか…長年の歴史の中でかなり確立されています。


身体論や奏法を細かく紹介している書籍などもロックフォームより多くあると思います。


このフォームのプレイヤー

クラシックギタリスト全員といっていいと思います。


ジャズ系

ジョー・パス

ジム・ホール

ベン・モンダー

アダム・ロジャース(ロックグリップと楽器によって切り替えるハイブリッド)

マイク・モレノ


ジャズ系の人はクラシックギタリストほど厳格にフォームを作っているわけではなく、スタイルに合わせてどちらかのフォームに近い、という方が多い様に感じました。



 以上がざっくりとロックグリップとクラシックフォームの紹介です。

今回の記事を執筆するにあたって改めて様々なギタリストのフォームを見てみましたが、やはりロックギタリストは綺麗なロックグリップ、クラシックギタリストは綺麗なクラシックフォームのプレイヤーが多い。

 それと比べるとジャズギタリストは自分のスタイルに合わせてそこまで振り切っていない、あえていうならこっちのフォーム、という人も多いと感じました。



 例えばジョナサン・クライスバーグは一見小指を多用するクラシックフォームっぽいですが中手骨を軸にしている様にも見えます。

ジュリアン・ラージも綺麗なクラシックフォームの時もあればロックグリップも自由に行き来している様に感じます。

 パット・メセニーに関しては手が大きのか、もはやよくわかりませんでした(笑)どちらかに振り分けるのが難かしいですが、四指の押弦や離弦の関節の動きはクラシックフォームに近い様にも感じます。



 こうやってみると、結局フォームなんて別にこだわらなくてもいいじゃん。と思えてきますが、自分はそうは思いません。



 上記のプレイヤーは、自身のスタイルに合わせて無駄のない動きをしています。また、メセニー然り、鬼の様な練習時間を経て、どちらかの型にはまらない「自身の運指を作り出していった」とも言えるでしょう。



 最初に書いている通りこのブログでは「ジャズギターを学問として、論理的、戦略的に身につけていく」ことを目的としています。


 「鬼の様な練習時間を経てスタイルを身につけてください」という根性論は極力省いて考えていきましょう。



 僕自身は、専門学校で習った時の先生は綺麗なロックグリップで、それをかなり研究しましたが、その後8年ほどクラシックをかなり専門的に習ったおかげでクラシックフォームも習得して、今ではスタイルによって変えるハイブリッド型になっています。チョーキングを多用したくなる様なプレイの時はロックグリップ、ジャズのライブでフルアコを使う様な時は大体クラシックフォームになることが多いです。


 まずご自身の左手を動画に撮るなり、鏡で見るなりしてみてどちらのグリップに近いのか、または自身の身に着けたいスタイルがどういう方向なのか?を考えて、どちらかのフォームに振り切ってそのフォームを研究するといいと思います。



 僕のレッスン経験からの話ですが、この二つのフォームを深く考えない人がほとんどで、多くの人がロックグリップで構えながら小指を使おうとして結果的に指がバタつく、指の無駄な動きが多くなる、手首が極端にまがり痛めそうな見た目。結果的に必要な脱力ができず左手に力が時が入り緊張している。いいパフォーマンスができない。


 こういう方が多くいます。

これはジャズを弾く以前の問題です。ぜひ楽器を無駄な力なくリラックスして自然体で弾ける様にしていきましょう。



 次回はクラシックフォームの指の独立練習を具体的に紹介していきます。


 

本気のジャズギターを段階的に習得。

教室内ジャムセッションやフェスの出演などで実践経験もつんでいけます。

 




 

閲覧数:46回0件のコメント
bottom of page